スローガン
SLOGAN
格差と分断に押しつぶされずに差別に立ち向かおう
ごあいさつ
GREETING
「部落解放をめざす会」総会を開催するにあたり、会員の皆様の差別撤廃に向けての日頃の活動に感謝申し上げます。
2019年12月に新型コロナウィルス感染症が報告されて以来、総会も開催を縮小し、書面決議という形で開催してまいりました。しかし、2023年5月より、感染症法上の取り扱いが5類へと移行されることになり、ようやく通常開催という形で開催できることになり
ました。
そんななか、めざす会の事務局長としてご尽力されてこられた「松田操」さんの突然の訃報に、驚きと深い悲しみでしばらくはこの事実を受け入れることができませんでした。この訃報は、私のみならず共に差別撤廃運動に取り組んできた多くの人々に、深い悲しみをもたらしたのではないかと思います。
松田さんは、「部落解放をめざす会」の発起人として、「めざす会」を立ち上げられ、部落差別をはじめとするあらゆる差別撤廃のために邁進してこられました。そして、桑名市における「人権宣言」や「差別撤廃条例」などの制定にも大きくかかわってこられました。
そんな松田さんの差別撤廃の運動にともにかかわってこれたのは、私にとっても楽しさでもあり、意味深いものでした。人権については言うまでもなく、人間としての生き方に関わっても、教えられたことは枚挙にいとまがありません。松田さんは日頃から「差別をなくす取り組みは、一人では何もできないが一人からはじめなければなにもできない。そして、地道に息の長い運動にしていかなければ…。」というのが口癖でした。まさにその思いが、設立から30年以上も運動を続けてこられた所以ではないかと思います。しかしながら、毎日のようにハラスメントの報道を目にしない日はありません。さらにネット上においても差別事象は後をたちません。
この設立当初の思いに今一度立ち返り、差別撤廃に向けて裾野を広げ、差別を許さず人権を大切にする社会を目指していきたいと思います。
差別撤廃・人権確立をめざす取り組みの継続とともに、さらなる取り組みの充実を図っていくためにも、「部落解放をめざす会」の活動に対しまして、みなさまのご支援・ご協力をお願いいたします。
部落解放をめざす会
会長
岩浅和博
活動方針-2024年度-
ACTIVITY POLICY
1.はじめに
世界人権宣言が1948年に採択されてから、多くの国際的な人権にかかわる条約や規約が採択され、あらゆる立場の人にとって「人権」は等しく保障されるべきものであるということが、世界では当然の認識となっています。
しかし、第二次世界大戦後も、世界各地で戦争・紛争や武力衝突がおこり、テロ・暴力と差別・迫害が絶えませんでした。さらに、経済のグローバル化の進行とともに、経済至上主義と競争原理の考え方が地球上を席巻し、豊かな国と貧しい国の格差がますます拡がりました。一つの国の中でも格差が拡大しています。他にも環境問題、食料資源問題、人口問題、戦争・紛争等、人権につながる多くの問題が深刻になっています。そのような中、近年では、2022年2月に始まったロシアのウクライナヘの軍事侵攻は今なお続いており、多くの人の命とくらしが奪われています。昨年10月からはパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘激化をはじめ、国連憲章の精神を無視し、軍事力ですべてを解決しようとする動きが強まっています。以前にも増して国際社会は政治的、経済的に急激に対立を深めつつあります。また、紛争や迫害によって移動をしいられた人々( 難民・国内避難民) は増え続け、2022 年には1億人を超えています。( 国連難民高等弁務官事務所= UNHCR)。戦争は最大の人権侵害です。全世界の様々な国・地域で生きる人びとの命とくらしを今後どのように守り持続可能な社会を創っていくのか、私たちの重大な課題となっています。
国内では、情報技術の飛躍的な発達と並行して、ネット上には部落差別を煽る情報や在日= 韓国・朝鮮人へのヘイトクライムやヘイトスピーチをはじめ、社会的マイノリティや社会的弱者への攻撃があふれています。これまでの差別を温存してきた考え方は、いまだに根強くあり、貧困等により人びとが生きづらくさせられている社会状況とも重なり、個人の尊厳と人権を否定する不寛容な風潮が広がり、さまざまな人権侵害が起こっています。
2022年5月19 日に「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」が公布・施行され、2023年4月1日には「不当な差別その他の人権問題を解消するための体制の整備に関する規定」が施行されました。この条例は差別について「人種などの属性を理由とする不当な区別、排除または制限」と定義し、不当な差別やその他の人権課題の解消に向けて、県・県民・事業者等に責務があることが述べられています。具体的には、相談体制を整備することや被害者が申し立てれば、知事が相手に反省を促す「説示」や、行政指導に当たる「勧告」を出す場合もあるとされ、県による介入を責務として明文化されたのは都道府県で初めての条例です。
実際には、2023年、公立学校に勤務する教員が、土地を買う契約をしたあと、その場所が被差別部落であるとわかったとして、取引した業者に対し、契約解除を文書で要求したということがありました。業者は契約解除に応じましたが、この教員が業者の対応を非難し続けたため、包括的に差別を禁止する県の条例に基づき、対応を求める申し立てを行いました。結果、この教員に対し、知事が差別をやめるよう促す「説示」を行いました。本条例による「説示」の発出は、この事案が初めてとなります。
私たちの社会の中には、残念ながら今回の事案のように差別の現実が根強く残っています。この条例はそんな差別を解消していくための大きな一歩ではあります。しかし、個人の人権課題を一括りにするのではなく、それぞれの差別問題には状況や闘いなどそれぞれ歩みがあります。一つひとつの差別問題の解消の取組を進めていく必要があります。
私たち「部落解放をめざす会」は、すべての人びとが、部落差別をはじめとするあらゆる差別を受けることなく、幸せな生活が営める社会の実現をめざす人権が主要な柱に位置づけられている「人権のまちづくり」を桑員地区中心に積極的に取り組んでいきます。
2.各部会の取組
研修啓発部会
2022年5月19 日に「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」が公布・施行され、2023 年4月1日には「不当な差別その他の人権問題を解消するための体制の整備に関する規定」が施行されました。この条例は差別について「人種などの属性を理由とする不当な区別、排除または制限」と定義し、不当な差別やその他の人権課題の解消にむけて、県・県民・事業者等に責務があることが述べられています。具体的には、相談体制を整備することや被害者が申し立てれば、知事が相手に反省を促す「説示」や、行政指導に当たる「勧告」を出す場合もあり、その場合は、知事がその概要を公表することが明記されています。この条例が施行されたことにより、条例が規定する「実態調査」を含めて、県内の人権状況が適切に把握できるようになりました。
各地の被差別部落に入り込んで撮影した写真に地名を明示し、説明文をつけてネット上に公開してきた「部落探訪」(現在は「曲論クエスト」に改称)に対し、2023年11月、大阪府の住民の方が削除を求め、大阪地裁への仮処分を申し立てました。これに対して大阪地裁第一民事部は、鳥取ループ・示現舎に写真・記事の削除を命じました。さらに、削除対象の記事・写真の「ウェブサイトヘの掲載、書籍としての出版、出版物への掲載等の一切の方法による公表」も禁じました。「部落探訪」削除を求めた全国初の申し立てに対し、削除を命じた初の仮処分決定は、あとに続く裁判にとっても大きな意味をもつものになりました。
このことは私たち一人ひとりがあらゆる差別に対して反対の声を挙げ、そして行動し続けること、また、「差別をなくすなかま」として互いに連帯していくことの大切さを教えてくれます。絶えず自分自身を問い直す中で差別の問題を自分事としてとらえ、自ら行動を起こすことで「あらゆる差別のない社会」の実現をめざしましょう。
研修啓発部会では、「差別をしない」「させない」「許さない」ことを信念に活動していきます。研修を通して一人ひとりの人権意識を高め、研修で学んだ「正しい知識」を身近な人に伝え、ひとりでも多くの人に啓発していくことをめざしていきます。
今年度も、年間10回の小集会を設定し、どの会にも参加できる形式で行います。小集会では、身近な差別事件や社会に今も根強く残る差別意識について学習し、自分の差別心と向き合うことで人権感覚の高揚を図ることを大切にしていきます。
啓発活動としては、すべての人がいわれなき偏見や差別により傷つけられることなく、お互いを尊重し合える社会の実現をめざして、大型ショッピングセンターなどでの街頭啓発活動と、さくらまつりでにぎわう九華公園にのぼり旗の設置を、多度祭りに合わせて啓発横断幕とのぼり旗の設置を行います。また、「めざす会」の活動をより多くの方々に知っていただけるような効果的な人権パネルの展示についても、企業・団体会員、個人会員と連携しながら進めていきたいと考えています。
組織拡大部会
「部落解放をめざす会」にとって、組織の拡大は部落差別をはじめ、あらゆる差別撤廃に向けて活動の輪を拡げ、また、本会の趣旨を広めるなど、重要な役割を担っています。
団体会員(企業)の加入促進活動については、「部落解放をめざす会」の会員企業等の協力も得て、広く紹介いただきながら、1団体でも多く賛同し、加入していただけるよう訪問による加入活動とともに、加入促進ツールとして、新しく作成するリーフレットの活用や、他のアプローチ方法について、検討をすすめてまいります。
また、個人会員への加入促進活動については、団体への働きかけの活動と同様に「組織の輪を拡げる」という会員共通の目標到達に繋げられるような加入への提案及び支援に努め、組織の拡大を推進してまいります。
3.機関紙の充実に向けて
機関紙「かいほう」は、めざす会の活動方針や取組を、会員の皆様に広く伝える重要な役割を担っています。新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが5類へと移行して1年余りが経過し、その間、各種研修会や会議等がこれまで以上に開催されるようになりました。そこでの様子や、部落問題をはじめとしたあらゆる人権問題に関わる情報等を積極的に発信していき、会員相互のつながりを強める一助となるよう努めてまいります。また、情勢が変わる都度、桑員のみならず、国、県および関係諸機関の情報もお伝えしてまいります。
機関紙「かいほう」が、会員の皆様にとって読みやすく、親しみやすいものになるよう、めざす会の取組の様子、参加者の感想の活用や団体会員の皆様への取材など、より一層の創意工夫を重ねてまいります。今後も会員の皆様には、紙面の充実に関わってご協力を賜わることもありますので、その際は何卒よろしくお願い申し上げます。
機関紙を読んでいただ< 皆様が、職場や家庭など身近なところで、部落問題や人権問題を話し合うきっかけとなる紙面をめざしてまいります。
運営要綱
MANAGEMENT OUTLINE
(名称)
第1条
「部落解放をめざす会」
(事務所)
第2条
本会の事務所を事務局長のところに置く。
三重県桑名市大字下深谷部4706-2
(目的)
第3条
本会は、国民的課題である部落の完全解放を図るために、「同和対策審議会答申」の精神を踏まえ、部落問題の学習を深めるとともに、部落差別をはじめ一切の差別をなくす運動を展開ずることを目的とする。
(構成)
第4条
本会の目的に賛同する個人、団体によって構成する。
(機関)
第5条
本会は、「総会」「役員会」を置き、基本的な方向は「総会」で定め、具体的な取り組みは「役員会」で協議・決定する。
(役員)
第6条
本会に次の役員を置く。
特別顧問・・・・若干名
顧問・・・・・・若干名
会長・・・・・・1名
副会長・・・・・若干名
事務局長・・・・1名
事務局次長・・・若干名
(会計監査)
第7条
本会に会計監査2名を置く。
(任期)
第8条
役員及び会計監査の任期は次回の総会までとする。ただし、再任は妨げない。
(財政)
第9条
1.会の財政は、会費、寄付金、その他をもって賄うものとする。会費は、年間で団体は20,000円以上、個人は2,000円以上とする。ただし、加入団体に所属している個人の入会については、会費を1,000円以上とする。
2.事業年度は7月1日より翌年の6月30日までとする。
3.事業年度途中の入会については、当該年度の会費は徴収しないものとする。
4.会計については、一般会計と特別会計を設ける。
(活動)
第10条
本会は、目的達成のために次の活動を行う。
(1) 研究・学習活動
(2) 啓発・宣伝活動
(3) 部落差別をはじめ一切の差別撤廃等に向けた要請行動
(4) 署名活動
(5) 講演会・文化活動等の開催
(6) その他
(その他)
第11条
その他、本会の運営・活動に必要なことは、その都度「役員会」において協議・決定する。
(付則)
この運営要綱は、1989年8月9日から実施されるものとする。
・1991年7月26日第8条一部改正
・1998年7月23日第8条一部改正
・2000年7月18日第6条から11条まで一部改正
・2006年7月26日第4 条・第10 条一部改正
・2010年7月28日第9条一部改正
・2024年7月26日第2条一部改正