2024年度部落解放をめざす会 活動方針

 世界人権宣言が1948年に採択されてから、多くの国際的な人権にかかわる条約や規約が採択され、あらゆる立場の人にとって「人権」は等しく保障されるべきものであるということが、世界では当然の認識となっています。
しかし、第二次世界大戦後も、世界各地で戦争・紛争や武力衝突がおこり、テロ・暴力と差別・迫害が絶えませんでした。さらに、経済のグローバル化の進行とともに、経済至上主義と競争原理の考え方が地球上を席巻し、豊かな国と貧しい国の格差がますます拡がりました。一つの国の中でも格差が拡大しています。他にも環境問題、食料資源問題、人口問題、戦争・紛争等、人権につながる多くの問題が深刻になっています。そのような中、近年では、2022年2月に始まったロシアのウクライナヘの軍事侵攻は今なお続いており、多くの人の命とくらしが奪われています。昨年10月からはパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘激化をはじめ、国連憲章の精神を無視し、軍事力ですべてを解決しようとする動きが強まっています。以前にも増して国際社会は政治的、経済的に急激に対立を深めつつあります。また、紛争や迫害によって移動をしいられた人々( 難民・国内避難民) は増え続け、2022 年には1億人を超えています。( 国連難民高等弁務官事務所= UNHCR)。戦争は最大の人権侵害です。全世界の様々な国・地域で生きる人びとの命とくらしを今後どのように守り持続可能な社会を創っていくのか、私たちの重大な課題となっています。
 国内では、情報技術の飛躍的な発達と並行して、ネット上には部落差別を煽る情報や在日= 韓国・朝鮮人へのヘイトクライムやヘイトスピーチをはじめ、社会的マイノリティや社会的弱者への攻撃があふれています。これまでの差別を温存してきた考え方は、いまだに根強くあり、貧困等により人びとが生きづらくさせられている社会状況とも重なり、個人の尊厳と人権を否定する不寛容な風潮が広がり、さまざまな人権侵害が起こっています。
 2022年5月19 日に「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」が公布・施行され、2023年4月1日には「不当な差別その他の人権問題を解消するための体制の整備に関する規定」が施行されました。この条例は差別について「人種などの属性を理由とする不当な区別、排除または制限」と定義し、不当な差別やその他の人権課題の解消に向けて、県・県民・事業者等に責務があることが述べられています。具体的には、相談体制を整備することや被害者が申し立てれば、知事が相手に反省を促す「説示」や、行政指導に当たる「勧告」を出す場合もあるとされ、県による介入を責務として明文化されたのは都道府県で初めての条例です。
 実際には、2023年、公立学校に勤務する教員が、土地を買う契約をしたあと、その場所が被差別部落であるとわかったとして、取引した業者に対し、契約解除を文書で要求したということがありました。業者は契約解除に応じましたが、この教員が業者の対応を非難し続けたため、包括的に差別を禁止する県の条例に基づき、対応を求める申し立てを行いました。結果、この教員に対し、知事が差別をやめるよう促す「説示」を行いました。本条例による「説示」の発出は、この事案が初めてとなります。
 私たちの社会の中には、残念ながら今回の事案のように差別の現実が根強く残っています。この条例はそんな差別を解消していくための大きな一歩ではあります。しかし、個人の人権課題を一括りにするのではなく、それぞれの差別問題には状況や闘いなどそれぞれ歩みがあります。一つひとつの差別問題の解消の取組を進めていく必要があります。
 私たち「部落解放をめざす会」は、すべての人びとが、部落差別をはじめとするあらゆる差別を受けることなく、幸せな生活が営める社会の実現をめざす人権が主要な柱に位置づけられている「人権のまちづくり」を桑員地区中心に積極的に取り組んでいきます。